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寺内大輔の日記

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くちづけ口琴、Kissing Mouth harp






 最近,口琴の話題が多いが,今日も口琴の話題。
 先日,ベトナム口琴の新たな演奏法を発見した。

 写真を見ればすぐにご理解頂けると思う。「ふたりでひとつの口琴を演奏する」という方法である。口琴はひとつだが,共鳴体である口がふたつあるため,より複雑な音響効果が可能である。例えば,ひとりの奏者が素早く「およよよーん」と演奏すると同時に,もうひとりの奏者が遅いテンポで「あっらっらっらーーん」と演奏すれば,それらが交わることによって新たな響きが生まれる。一人での演奏に比べ,音色の可能性は飛躍的に拡がるのである。

 ただ,響きそのものに関してはひとりで出す音に劣ってしまう。これは,口琴をふたりの奏者の間に位置させるために,ひとりひとりの口からはやや遠くなってしまうことや,音が内側に籠りがちになり外に向かいにくいことが原因であろう。だが,いわゆる「良い響きの音」よりも,繊細で複雑な音色の表現に向いている奏法と言える。お互いに音を注意深く聴き合いながら,異なる奏法の関係性を楽しむことが,この奏法の醍醐味である。

 しかしながら,この奏法にはある種の問題点もある。それは奏者同士の唇が触れてしまうことだ。ある程度理解ある人同士でなければ,この奏法には抵抗があるだろう。私自身も,いくらこの奏法に興味があるとはいえ,誰彼構わずこの奏法を試してみたいとは思わない。

 なお,この奏法は,基本的にはベトナム,モン族タイプの口琴が最もふさわしいと思われる。他の金属口琴では,顔が邪魔になって弁を弾けないからである。


 
 さて,何人かの方は,これと似たアイデアをご存知なのではないだろうか。アイヌのレクッカラ、イヌイットの間ではカタジャクと呼ばれている遊びである。

 作曲家,高橋悠治が1986年に著したエッセイの中に次のような文章がある。

**引用*****************
女が二人、向き合って相手の口を共鳴体につかいながら、のどでさまざまな音をだす。
これがなぜ女だけのものなのかわからないが、むかしシェフスキーにその話をしたら、いっしょにやろうと言われ、どうしてもその気にはなれなかった。カタジャイットのレコードに「犬たちの歌」というのがあって、そのあえぎ声をカフカの音楽犬のためにサンプリングした。彼女たちは一曲うたってはどっと笑いくずれているが、男二人があのように相手の口のなかへ息をふきかけあったあとで、ほがらかでいられるものだろうか。

出典:
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~mie_y/suigyu/tushin/1986_07.html
*********************

 私は,この遊びに大変興味を持っている。残念ながら,実際には見たことも聴いたこともないのだが,今回編み出した口琴奏法にも深く通じるものがあると思われる。先日,インターネットで知ることが出来る数少ない説明をもとに,自分なりにこの遊びを試みてみた。とても楽しかったが,おそらく伝統とは違う方法になっていることだろう。

 いつかぜひ伝統にのっとったこれらの遊びを見てみたいものである。


写真:この奏法を試みる三宅珠穂(左)と松田あゆみ(右)


動画もあります。
http://dterauchi.com/kissing.html

| 口琴 | 10:48 | - | - |